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全98巻108冊、28年をかけて書かれた日本最大の長篇小説『南総里見八犬伝』。作者・滝沢馬琴が篭めた理想や創作上の技法について、中国の史書や儒教・仏教などの文献に照らして検証する。稗史小説という俗の場において馬琴が描かんとした儒学的人間観は、当時の読者にも共有されていた。その相互作用こそが『八犬伝』の拠って立つ大衆性であった。「天機」「造化」「勧懲」などのキーワードを基に、馬琴の並外れた創意と広大な『八犬伝』の世界を読み解いていく。
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