カルマンフィルタの基礎と実装

カルマンフィルタの基礎と実装

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出版社
科学情報出版
著者名
綱島均 , 橋本雅文 , 菅沼直樹
価格
4,620円(本体4,200円+税)
発行年月
2021年9月
判型
A5
ISBN
9784910558035

R. E. Kalman( 1930-2016) によって、1960年代に提案されたカルマンフィルタは、アポロ計画の軌道推定問題への応用を皮切りに様々な分野に応用され、その応用範囲を飛躍的に拡大してきた。この飛躍の要因の背景には、コンピュータの発達とカルマンフィルタのアルゴリズムの効率性がある。カルマンフィルタのアルゴリズムの本質的な部分は、たった5 行程度のプログラムで実装ができる。一方、カルマンフィルタを実社会の様々な推定問題に適用するためには、その問題に応じて適切な構成をしなければならない。そのため、カルマンフィルタのアルゴリズムを実装するためのお膳立てが特に重要となる。
これまでにカルマンフィルタの基礎理論を解説した書籍は、数多く出版されている。一方、実社会における推定問題へのカルマンフィルタの実装について解説した書籍はほとんど出版されていない。そこで、近年開発が急速に進んでいる移動ロボット、自動運転車両、鉄道の状態監視を取り上げて、カルマンフィルタの実装技術を解説することとした。なお、本書では、カルマンフィルタの実装技術に重点をおいているため、確率理論、制御理論、行列演算等の詳細については、最小限の記載に留めている。必要に応じて関連の参考書等を参照してもらいたい。
本書は、「第1 部 カルマンフィルタの基礎」、「第2 部 移動ロボット・自動車への 応用」、「第3 部 鉄道の状態監視への応用」 の3 部で構成されている。「第1 部 カルマンフィルタの基礎」 では、線形カルマンフィルタ (KF) の導出にあたっては、できるだけわかりやすく解説するために、一般によく知られた最小二乗推定法を拡張してカルマンフィルタを導出するという構成を採用した。また、非線形のカルマンフィルタとして、拡張カルマンフィルタ( EKF)、アンセンティッドカルマンフィルタ( UKF) の導出についても説明している。加えて、複数のカルマンフィルタによる推定を確率的に統合する方法として、Interacting Multiple Model(IMM)法について基本概念を解説した。「第2 部 移動ロボット・自動車への応用」では、近年、急速に進化しているビークル( 移動ロボットや自動車などの移動体の総称) の自動運転や安全走行支援などの自律的誘導におけるカルマンフィルタの応用事例を述べている。ビークルの自律的誘導では、雑音にかき乱された車載センサからの情報をもとにビークル自身や周辺環境の状態を信頼性高く認識することが不可欠となる。「第3 部 鉄道の状態監視への応用」 においては、近年普及が急速に進んでいる鉄道の状態監視へのカルマンフィルタの応用事例について解説している。カルマンフィルタは、動的システムの逆問題を効率的に解く方法の一つとして有効であることが知られている。そこで、鉄道における状態監視の現状と展望について説明したのち、鉄道車両の車体の上下振動加速度から軌道の形状を推定するという逆問題に対する適用例を示した。

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