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天才贋作者の華麗なる冒険
金持ちで蒐集家のおばに引き取られたアントンは15歳で絵を描きはじめた。完成した絵は不謹慎な題材でおばの不興を買ったが、屋敷を訪れたローベルトおじは絵の勉強を続けるよう激励する。実はこのローベルトこそ、バルカン半島の某公国を巻き込み、17世紀バロック絵画の架空の巨匠をでっちあげて、世界中の美術館や蒐集家を手玉に取った天才詐欺師にして贋作画家だった。17歳になったアントンはおじの待つ公国へ向かったが、そこでは予想外の運命が彼を待っていた……。虚構と現実の境界を鋭く軽妙に突く諷刺小説であり、芸術小説でもある本書は、一部の幸福な読者によって秘かに偏愛されてきた。戦後ドイツ文学に異彩を放つゲオルク・ビューヒナー賞作家の知られざる傑作。「これは別格の小説。何故これを書いたのは私ではないのか、考えはじめると口惜しくて夜も眠れない一冊」(佐藤亜紀氏)。
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