光ひとり

光ひとり

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出版社
飯塚書店
著者名
藤野武
価格
1,650円(本体1,500円+税)
発行年月
2021年9月
判型
四六判
ISBN
9784752250159

【掲載句より】

夜半(よわ)醒めて寒牡丹燃ゆ胸の浅瀬

夕蜩思いは生絹(すずし)のごとし遠し

ががんぼを言霊のように手で包む

日傘とう一瞬の光(かげ)君は病み

熟柿落つ自由というも危うくて

矢印の方へ人行く晩夏なり

蛇穴にゆるると古典的な所作

桐の実のやさしく拒否するとき揺れる

青麦のきらきらきらと物忘れ

老人ホームに虫ピンで止められし晩夏

霧の来て山わしづかむ我が胸も

空(から)の巣へ秋雲寄するばかりなり

うろうろふわふわ早春は白犬

鮎光り翳り言葉は古りゆけり

人よ癒えよ嬰の握りし夏の光

冬星鋭(と)し我ら流されて久し

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