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マヤ支配人様
ほんとうに
おつかれさまです。
わたしの心配は
マヤくんの
健康だけです。
10分後に
TEL、します。
ひ
本書の帯裏につけたこの手紙は、作家井上ひさし氏から、三女の井上麻矢さんに送られたFAXである。
送られた日付は、2009年9月14日21時17分。ひさし氏が病を得てから2010年4月9日に亡くなる、その約半年前の筆跡である。
麻矢さんは、このFAXの手紙のことは忘れていたそうだが、今回の本のために資料を探すうちに、偶然発見したのだという。まさに、本書のために井上ひさしさんが、ひょっこり姿を見せてくれた! そんな気がして嬉しかったそうだ。
井上ひさし氏はこの頃、娘の麻矢さんと、こまつ座の行く末を案じていたのだろう。
麻矢さんに「夜中の電話」をかけてくるようになったという。
その内容は、生き方から仕事のことまで、実に多岐に渡っていた。
それを麻矢さんは1冊のノートにまとめ残していた。
病が刻々と進行していく中、必死に語られた言葉の数々は、もちろん麻矢さんに向かってのものではあるが、また広く読者の胸に響く言葉でもあると思う。
ひさし氏が病を押しても伝えたかった大切なこと。その中から77の言葉をまとめたのが本書である。
「はじめに」のあとの「父の最期をみとって」の中には、今回初めて明かされる麻矢さんからみた作家、井上ひさし氏の最期の姿も切々と語られる。
この本はそれまで、様々な想いを抱えたひと組の親娘の、心が溶け合うまでの人生の軌跡でもある。
安野光雅氏推薦!
「井上ひさしが、三女・麻矢に残した言葉は、次の世代を生きる誰もが共感する、最後のメッセージである。」
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