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集う社員の数だけ、思い出の味がある――。
藤丸物産の社員食堂で働く杏子は、二か月前に会った社員を探している。
エレベーターホールでぶつかった時に優しくされ、ときめいてしまったのだ。
ただ、コンタクトが外れていたせいで、顔をちゃんと見られなかった。
手がかりは、「藤」の一文字。
至近距離で視界に飛び込んできた社員証で、唯一認識できたのがそれだった。
しかし、社員食堂は高い喫食率を誇るにもかかわらず、彼らしき社員はなかなか見つからない。
おまけに、先月入ってきたばかりの、ひとつ年下の調理師・渚にこき使われる毎日。
そんな折、社食に花見弁当の注文が舞い込み…?
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