特集:学びに向かう力を育てる
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〈提起文より〉
特集:学びに向かう力を育てる
「先生、今日の国語、何やるの? 」これは、私が今、子どもに言われて一番反省する言葉である。以前は、国語を好きになってくれたのかな、国語の授業を楽しみにしてくれているのだな、と少し嬉しい気持ちにもなっていた。確かに、「あぁあ、次の時間、国語か」と言われるよりはいい。しかし、「今日の国語、何やるの?」の裏側には、「学び」は「先生から教えてもらうもの」という意識が少なからずあるように思える。私たち教師が目指している「自分で問題を発見し、自ら考え、判断して行動し、解決策を自分で見つける」という主体的な学び手の姿はそこにはない。
二〇一五年の夏、私はアメリカの高校へ授業の視察に行く機会に恵まれた。そこで見た生徒たちの姿は、教育観が変わるほど衝撃的であった。校内を案内するボランティアの生徒たちは、自分たちがどのような学びをしているのか、何の目的でどのような方法で学習に取り組んでいるのかを生き生きと説明してくれた。我々視察者からのあらゆる質問にも、物怖じせず堂々と答える姿は輝いて見えた。その自信に満ちた学び手の笑顔は今でも目に焼き付いている。
今回の学習指導要領には、「学校で学んだことが子どもたちの『生きる力』となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい」という願いが込められている。「先生、音読は何回すればいいですか」「作文は何枚以上書いたらいいですか」では話にならない。「教えよう」「教えてもらおう」の国語授業から脱却し、子ども自ら学ぶ国語にしたい。
国語の授業で、子ども一人一人が学ぶ目的を自覚し、自分で問いを発見するにはどのような手立てを講じればよいだろうか。また、子どもが学ぶ方法を考え、獲得した知識を使い、粘り強く学び続けられるようにするために、教師はどのように指導力を発揮すればよいだろうか。
本号の特集では、「学びに向かう力を育てる」と題し、実践者の立場からそれぞれの考えを論じていただく。( 溝越勇太)
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