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「40年ほど前、海外暮らしの大変さも考えず、若い私は、イランから、あこがれの日本にわたってきました」。「越えなければならない壁がいくつも目の前に現れました」。
昭和末の日本に降り立ったイラン女性が覚えたての日本語を駆使し20代でイラン大使秘書を経験、帰国後は国営テレビで日本のドラマを翻訳・紹介し、再来日してからは公開されるほぼすべてのイラン映画の字幕翻訳に関わる。
世界の映画祭を席巻しはじめたキアロスタミらイランの監督たちの通訳・アシスタントを務め、各地の映画祭でイラン映画の紹介に奔走、多くの国際合作をプロデュースし、日本の監督のイラン・ロケや、イランの二大巨匠(ナデリとキアロスタミ)の日本での映画づくりを「命を削る」苦労で実現した。映画づくりを志す日本の学生たちの教育にもたずさわる。
イスラム革命、対イラク戦争、昭和の終わり、バブル崩壊、労働者の大量来日、アメリカの経済制裁……激動の時代のなかイランと日本を往復し、遠く離れた両国の「奥深くに似たところがある」「イランと日本は編みあわされた一つの国」と感じるまで二つの文化のかけ橋となった女性の映画愛に満ちた涙と笑いの半生記。
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