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横山秀夫氏、感嘆。
やられた。英国人作家が書いた「東京」 に迷い込み、気がつけば、心はあらかた 「占領」 されていた。
すこぶる付きの闇と謎と情念。
しかも、 小説としてべらぼうに面白い。
――横山秀夫 (作家)
1949年、7月。GHQ占領下の東京で、国鉄総裁が出勤途中に姿を消し、深夜の鉄路で発見された。列車にはねられた無残な轢断死体として――。
戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。
下山国鉄総裁、変死体で発見。おりしも国鉄は、GHQの方針により大規模な人員整理に着手したばかりで、労働組合や左翼分子による犯行が疑われた。
GHQ上層部のウィロビーらの命で捜査を担当することになったGHQ捜査官スウィーニーは、裏社会とのコネを手がかりに占領都市の暗部へと潜ってゆく。総裁の死は他殺か自殺か。警視庁捜査一課と捜査二課が対立し、マスコミや世論も揺れる中、スウィーニーの捜査線上にGHQの謀略機関〈本郷ハウス〉の影が見え隠れし、彼は徐々に戦後の〝黒い霧〟に呑み込まれてゆく……。
1964年、6月。初のオリンピックを目前にする東京で、下山事件に関する作品の取材を進めていた探偵小説作家・黒田浪漫が失踪した。編集者を名乗る男の依頼で黒田の行方を追うことになったのは元刑事の私立探偵・室田。だが消えた作家の足跡を追ううちに、室田は東京の暗い半面にひそむ黒い黒い迷宮に少しずつ踏み込んでゆく……。
そして1988年、12月。病床に臥せる天皇の容態を憂えて沈む東京に、翻訳家ライケンバックはいた。かつてCIA工作員として日本に派遣され、やがて日本文学の研究者として東京に住むことになったライケンバックのもとに、戦後の忌まわしい事件の亡霊がやってきた。彼の運命を狂わせた下山事件。その亡霊が、今、ここ、昭和の最後の年に。あのとき、いまだ復興していない占領下の東京で何があったのか――?
あの占領下の黒い霧を清算するときが来た。
戦後最大の怪事件「下山事件」にブリティッシュ・ノワールの鬼才が挑む。あの〝黒い霧〟を追い、狂わされ、追いつめられ、破滅していった者たちの姿を描く切迫の新文体。
もはや読むべき「下山事件」はないと思っていた。挑んだ筆者に敬意を表したい。
異形の「シモヤマ・ケース」をありがとう。(横山秀夫)
犯罪小説史に異形の刻印を黒々と刻む〈東京三部作〉、完結編にして最高傑作の誕生。
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