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現代日本の「子どもの文学」をいろどった作家、作品の魅力を探る、第二弾!
石井桃子、宮沢賢治、金子みすゞから、打木村治、詩人の永瀬清子、絵本作家の中谷千代子、赤羽末吉、林明子、ベートーヴェンの伝記まで、作家と作品を幅広く紹介。
また、「動物」を切り口にした独自の視点での作品論も自由に展開!
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この本は現代日本児童文学への視点を示したものです。まず石井桃子、そして宮沢賢治、金子みすゞへとやや広がって行き、さらに詩人の永瀬清子、小説家の打木村治へと広がって行きます。児童文学論の本になぜ永瀬や打木を取り上げるのかと不思議に思う人がいるかもしれません。打木は調べればわかります。永瀬は詩人ですが、この本で述べることは彼女の詩の中に児童文学的要素が色濃くあるからです。
終わりは二本。ベートーヴェンについての伝記二冊、そして馬に関する絵本を数冊取り上げています。児童文学に関わりをもって長い間過ごしてきたわたくしは、人間よりも動物の方に興味関心を持つようになりました。
まずは猫です。漱石の『吾輩は猫である』ではありません。石井桃子の『山のトムさん』です。そして、『おひとよしのりゅう』の竜です。『なめとこ山の熊』の熊です。最後の第十一章に出てくる三匹の馬です。動物の登場するこれらの作品を読んでいたら、児童文学とは子どもばかりが登場する作品ではなく、動物の好きな大人読者が夢中になる「動物主体の作品」なのかなと思うようになりました。
石井桃子の『山のトムさん』を読んでいると、まさに猫好きになります。それから、第五章の中谷千代子の絵本『くいしんぼうのはなこさん』の文章は石井桃子が書いています。牛のハナコは大威張りのわんぱく娘で、とても愉快です。そして、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』は母熊と子熊のほのぼのとした風景を浮かび上がらせますし、片や金子みすゞの詩「町の馬」は叱られ叱られ荷物のお魚を曳いて町へ帰って行きます。
ベートーヴェンの伝記が出てくるのは突発的で、まさに火山の噴火が起きたようで読者は「あれっ!」と驚くでしょう。読者の皆さんも大好きな音楽家の話です。ベートーヴェンの音楽はよく聴くが、彼の伝記は知らないという子どもがいるのではないでしょうか。そのためにこの本でベートーヴェンの生涯を学んでください。
最終は馬に関する絵本のことです。堀内誠一の馬の絵本は「まぼろしの絵本」です。いったい、どのようなものでしょうか? 期待を込めてぜひ、この本を読んでください。そうすると、「まぼろしの馬」が皆さんの夢の中にきっと出てくるでしょう。
(「はじめに」より)
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