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江戸深川の飯屋〈江戸一〉は小体な店だが、味の旨さと店主の吉六特製のタレが人気で大評判。
長男の吉平は店を手伝いながら、いつか自分も料理人になろうと心に秘めていた。
だがある夜、店に押し入ってきた何者かに父親は殺され、
秘伝のタレの入った瓶も盗まれてしまう。吉六の死で一家は離散。
吉平は柳橋の料理茶屋に拾われ、奉公人として料理の腕を磨いていく。
だが、思いは父の仇を見つけること。
吉平の身を案じる南町奉行所同心・矢部一之進は科人を捕らえるべく、探索に奔走していた。
一向に手がかりのないまま五年の年季が明け、出商いを始めた吉平。
ある日〈江戸一〉の味に似ているという料理茶屋の評判を聞き、
出かけた吉平がそこで見たものは? 書下ろし長編。
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