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人が生きるうえで病気と闘うため,必要不可欠とされる抗生物質。人類は抗生物質のおかげでさまざまな病気を克服し,今に至るのは言うまでもないですが,その一方で,濫用から起こる耐性菌の問題は,病気そのものより重大なことがあります。例えば発展途上国では,純度の低い抗生剤を目的もはっきりとしないまま濫用し,菌が耐性をもつことで次第に薬が効かなくなってしまう。そして,その病気が治らなくなるだけでなく,ほかの病気を引き起こしてしまう,といったことも起きています。本書は,こうした耐性菌を殺す薬を開発しては,また効かない菌が現れる・・・・・・という,いたちごっこのような耐性菌と人間との闘いの歴史について,世界中の実例を基に解説。さらに,人だけでなく家畜にも使用されている,抗生物質の危険性などについても詳述します。
感染症に有効な抗生物質がほぼなくなりかけているという現実に目を向け,安易な抗生剤の使用に警鐘を鳴らす一冊です。コロナ禍の今,感染症の知識を深めるとともに,感染対策にも役立つでしょう。
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