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左大臣時平のおもわれ人となった北の方は年老いた夫や幼い子とひきはなされ、宮中深くに囲われてしまう。母を恋い慕う幼い滋幹は、母の若い情人がしたためた恋文を自らの腕にかくし、母の元に通う。平安文学に材を取った、谷崎文学における母恋ものの代表作。小倉遊亀による口絵・挿画を完全収載。ほかに、「ハッサン・カンの妖術」「二人の稚児」「母を恋ふる記」の短篇三作と正宗白鳥による時評を付す。あらたな註解を付した決定版。〈註解〉明里千章〈解説〉千葉俊二
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