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人と会ったり話したりすることは楽しいけれど、その後は自分の時間が必要。人とかかわる仕事をしているけど、時にはひっそり一人で過ごしたい。一日の終わりには、仲間と集まって何かをするよりも家でゆっくりしたい――こんな人はいませんか? もしかすると、このような人は「静かな人」かもしれません。
「学校の授業」と聞いて、どんな風景を思い浮かべますか? 子どもの声にあふれた活気ある教室―それが「よい授業」であり「よい教室」だというイメージが主流ではないでしょうか。そして教員は、このイメージから外れる生徒に対して「もっと元気に、どんどん発言して主体的に参加してくれたらな」と思いがちです。しかし、よく考えてみてください。大人だって、常に元気ではきはき話す人ばかりではありません。人とのやりとりがしんどいと感じる人もいるのです。そういう子どもや大人を無視したり排除して成り立つ教室や社会は、必ずひずみを生みます。
本書では、「静かな子ども」も力を発揮できる環境のつくり方や、コミュニケーションの構築の仕方を紹介していきます。たとえば考える時間を大切にする姿勢、それぞれに合った表現方法の見つけ方、教室環境のちょっとした工夫、ICTを活用してのコミュニケーションの方法など、具体的な実践法が満載です。また、環境づくりにあたっては、生徒の興味関心(教科外のことも含まれます)から発する学びを尊重すべきことも説かれています。ふだんは静かな子も、好きなことや強い思い入れのあるものに関しては驚くほど積極的に話しだすことがあるのです。
あなたの教室に、「誰もが伝えたいことを話せる」環境は整っていますか? 「互いにきちんと相手の声を聴く」環境になっていますか? 「伝えたいことを伝える」「互いに理解しあう」というコミュニケーションの基本は、先験的に与えられたものではなく、教室全体で築き上げるものだということを、「静かな子ども」の存在が教えてくれるかもしれません。(山﨑めぐみ 創価大学教職大学院)
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