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ドイツの実力派による〈トーマス・マン〉賞受賞作
大学を定年退官した古典文献学の教授リヒャルトは、アレクサンダー広場でアフリカ難民がハンガーストライキ中とのニュースを知る。彼らが英語で書いたプラカード(「我々は目に見える存在になる」)について、リヒャルトは思いを巡らす。
その後、オラニエン広場では別の難民たちがすでに1年前からテントを張って生活していることを知る。難民たちはベルリン州政府と合意を結んで広場から立ち退くが、彼らの一部は、長らく空き家だった郊外の元高齢者施設に移ってくる。
難民たちに関心を持ったリヒャルトは、施設を飛び込みで訪ね、彼らの話を聞く。リビアでの内戦勃発後、軍に捕えられ、強制的にボートで地中海へと追いやられた男。命からがら辿り着いたイタリアでわけもわからず難民登録されたが、仕事も金もなくドイツへと流れてきた男。
リヒャルトは足繁く施設を訪ね、彼らと徐々に親しくなっていく。ドイツ語の授業の教師役も引き受け、難民たちとの交流は、次第に日常生活の一部となっていくが……東ドイツの記憶と現代の難民問題を重ね合わせ、それぞれの生を繊細に描き出す。ドイツの実力派による〈トーマス・マン賞〉受賞作。
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