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◆第一句集
初蝶の黄に逢ひ白に逢ひにけり
生来の抒情性が、客観写生の方法と結びつくと、句集『初蝶の』一巻の通奏低音となって有情写生句の美しさ、詩情をかもし出している。こうした傾向は、俳歴を重ねるにつれて、明らかな特色として、美喜子俳句を形成していることが見て取れる。
(序・伊藤肇)
◆自選十句
初夢のこよなくうれし母のゐて
祖母も来よ母来よ縁のあたたかし
安房なれや車窓に海と花菜畑
足元に闇のからまる蛍狩
恙なきことのしみじみ茄子の花
ひつそりと常の二人に夜の蝉
灯を消してよりの風情や月の供華
置き去りの様な花野の石ぼとけ
朝寒やきりりと結ぶ割烹着
ふるさとの校歌の山も眠りけり
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