朔が満ちる

朔が満ちる

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出版社
朝日新聞出版
著者名
窪美澄
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2021年7月
判型
四六判
ISBN
9784022517678

かつて中学1年の時に僕は、斧で父に殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負い家族と離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の梓との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。
 内容紹介(長文)
かつて中学1年の時に僕は、酒を飲む度に荒れる父親に手を焼き、遂に斧で殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負ったまま家族とも離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の梓との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。

サバイブ、したのか? 俺ら。
家族という戦場から――
家庭内暴力を振るい続ける父親を殺そうとした過去を封印し、孤独に生きる文也。
ある日、出会った女性・梓からも、自分と同じ匂いを感じた――
家族を「暴力」で棄損された二人の、これは「決別」と「再生」の物語。

父へ、母へ、
この憎しみが消える日は来るのだろうか。

酒を飲んでは暴れ、家族に暴力をふるう父に対して僕には明確な殺意がある。
十三歳で刑罰に問われないことは知ってはいるが、僕が父を殺せば、もう母とも妹とも暮らすことはできないだろう。それがわかっていても僕は父を殺そうとしている。自分のなかに黒い炎を噴き出す龍が住んでいる。いつそれが自分のなかから生まれたのかわからない。龍は僕に命令した。今だ、と。         (本文より)

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