わがいのち果てる日に

わがいのち果てる日に

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出版社
講談社エディトリアル
著者名
田嶋隆純
価格
1,870円(本体1,700円+税)
発行年月
2021年7月
判型
四六判
ISBN
9784866770888

日本の敗戦後、戦勝国により「戦争犯罪人」とされた人々を収容した巣鴨プリズン。米軍管理下のこの施設で2代目教誨師となった田嶋隆純は、戦犯者が次々と刑場に消えていく中で「仏の慈悲を説く者が、人の殺されるのを見ていながら、徒らに手を束ねていて良いか」と、戦犯死刑囚の助命嘆願運動に献身し、在所者から「巣鴨の父」と慕われた僧侶である。その田嶋の編著になる本書は、死刑を宣告されたBC級戦犯者たちが迫り来る死と向き合いながら書き残した遺書と、教誨師として彼らの最期を見送ることになった田嶋自身による赤裸々な告白とが織りなす生と死のドキュメント。後半の「遺書集」(18編)には、異国の地で刑死したBC級戦犯者の遺稿も収録されている。先の大戦の知られざる諸相を照らし出すこの貴重な記録――1953年の初版刊行後、長らく入手困難となっていた「幻の書」――が、今ようやく新装復刊となった。
勝者のみがほしいままに敗者を裁くということは、文明の著しき逆行以外の何ものでもないであろう。なかんずく、私の最も悲しみに堪えないのは、不幸にも一方的裁判の犠牲となり、課せられた極刑の不当を訴える術もなく、十三階段上に恨みを呑んで散り去った人々のことである。(〓〓田嶋隆純「序」より)
この「幻の書」には、一読すればわかるように当時の巣鴨プリズンにおける受刑者たちの日常の暮らしがどのようなものであったかが克明に記されている。それだけでも第一級の資料といっていいが、その外に田嶋自身による、戦争と犯罪、仏教をめぐる悪業と死刑の問題、仏教者と国家の戦争責任などの重大な問題が論じられている。それが戦後七十有余年を経て、わが国民の忘却のかなたに追いやられ、「幻の書」とされてきたのである。このたびその「巣鴨の父」と親しまれた田嶋隆純師の遺児である田嶋澄子さんに乞われるまま、「幻の書」となった遺著を復刊する仕事に賛同し、師のもうひとつの貴重な「戦後体験」を浮き彫りにして、多くの人々に知っていただきたいと願い、つたない一文を草することにしたのである。(〓〓山折哲雄「復刊に寄せて」より)

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