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明治も終りに近い頃、江戸川橋の鰻屋に生まれながら、家業を嫌い靴職人となった主人公・伊之吉。独立して事業主となり、折り重なる浮き沈みに揉まれながら生き抜いて行く――関東大震災前の“古きよき東京”を緻密に再現しながら、市井に生きる日本人の姿を丹念な心理描写をもって描く。
私小説を志した著者が珍しくも客観小説に挑んだ大長編小説。
太平洋戦時下、「不要不急の作」として紙が配給されずお蔵入りになり、戦後、刊行間近で出版社が倒産、不幸な運命をたどった“幻の名作”が、いま蘇る!
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