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咲良は小学校3年生の夏に、家の庭のミカンの木で、アゲハチョウの幼虫のたまごをみつけた。お兄ちゃんに教えると、「幼虫がアゲハチョウになるまで、一緒に育てよう」とお兄ちゃんは約束をしてくれた。
それから間もなくお兄ちゃんが事故で亡くなり、咲良と両親は深い悲しみにしずんでいた。なかなか立ち直ることができなかった。
つぎの年、4年生になった咲良は、同じ木にふたたびたまごを見つける。大好きなお兄ちゃんとの約束を守りたい。咲良は、もう一度たまごを育てることを、友だちの愛に相談した。
咲良と愛は、幼虫のえさになるミカンの木の葉っぱを、近所の苦手な苦虫じいさんからもらった。苦手だったおじいさんと打ち解けてきた咲良たちは、おじいさんの協力で幼虫にエサを十分にあげて育てることができた。
やがて、幼虫はさなぎになり、とうとうさなぎからアゲハチョウが羽化するときが……。
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