日本における「満洲国」の研究蓄積は、非常に充実している。ただし、その対象はほとんどが日本人についてである。戦前、日本領だった台湾からも、「王道楽土」を目指して「満洲国」へ渡った人々がいた。台湾人でありながら「日本人」でもあった彼らが何故「満洲国」へ渡ったのか、現地でどのような生活を送ったのか、そして日本の敗戦をどのようにして迎えたのか、など、その実態はほとんど描かれることがなかった。著者は、オーラルヒストリーの手法で満洲経験者の話を集め、様々な資料を蒐集し、それらをもとに彼らの実態を描き出す。本書は、日本近代史、台湾近代史の空白を埋める貴重な資料である。
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