北の被差別の人々

北の被差別の人々

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出版社
解放出版社
著者名
浪川健治
価格
5,500円(本体5,000円+税)
発行年月
2021年6月
判型
A5
ISBN
9784759242287

本書は、近世の弘前藩における被差別集団の支配形態をたどるなかで、西日本で言われるような、穢多・非人というカテゴリーでは把握できない、多様な、被差別集団の在り様を明らかにするものである。

弘前藩領での「穢多」とは、あくまでも皮革処理と加工の専門的技術の所持者であり、数人規模の極めて少人数しか存在していない。一般に穢多にあたる存在は「乞食」であり、その乞食が、藩内の被差別集団全体の頭として存在した。

なお、本書で取り上げる皮革は、基本的には馬を対象としている、これは、西日本との農業技術の差異から生まれたものである。それに加え、馬は、近世国家における重要な軍事物資であり、その生産は弘前藩をはじめとした北奥が担っていた。つまり、東北の馬優越は、たんなる稲作生産の技術的制約によってではなく、近世社会そのもののあり方によって規定されたものなのである。その意味においては、馬がいかに皮革として利用されたのか、どのようにそれにもとづく被差別民の生業と生産が成り立っていたのかを明らかにすることこそ近世社会固有の問題があり、その典型として東北、とくに北奥という地域の被差別の歴史があるといっても過言ではないであろう。

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