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本書は、組織論の専門家が、世界の犯罪組織の組織構造を分析した研究書である。犯罪組織も一般の合法的組織(一般企業のような)と同様、一定のルールに則って運営される。つまり独自の法則を持ち、新人採用を行い、ビジネスを営むことで組織を存続させていく。だが犯罪組織である彼らは、それをどのようにして行っているのか。暴力使用の基準は? 殺人を多く犯す組織とそうでないところの違いは? 独特の儀式や行動規範はなぜ存在するのか? 著者は世界の7つの有名な犯罪組織集団を比較研究し、歴史的記述、公式データ、警察等からの情報、インタビューなどをもとにそれぞれの犯罪組織の構造の特徴を丁寧に焙り出す。「犯罪企業」としての彼らの組織構造分析を行うことで、そのロジックを理解する助けとなり、それが結果として彼らへの対抗策になると述べる。暴力団やマフィアについて、法学(刑法)の専門家による研究書やジャーナリズムの観点から書かれた作品は多くあるが、組織構造を分析し、そこから彼らの特殊な組織行動のロジックを導き出すという本書は類がない。犯罪組織研究の分野に新たな視点をもたらし、また犯罪組織に対峙する人々にとっても多くをもたらす作品である。
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