出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます
英国の劇作家ハロルド・ピンターは代表作『誕生日パーティー』が
興行的不振のために、早々と打ち切られるなど
正当な評価を得ることができていなかったが、
1960年初演『管理人』の成功によって一躍注目を集め、
65年初演の名作『帰郷』によって不動の名声を確立した。
80年初演の『温室』以降は、国際社会における人権侵害や弾圧などに
対して積極的に発言をするようになり、活動家として様々な問題に
コミットしつつ、幾つもの優れた政治劇を世に送り出した。
96年初演の『灰から灰へ』は、後期における彼の代表作である。
本書は、第一章で、言語に関わるピンターの問題意識を考察し、
続く第二章では、彼の作品群に描かれるミスコミュニケーション、
あるいは社会学者クラウス・ミューラーが
「歪曲されたコミュニケーション」と名づけたものの表象を分析し、
それらに表出する記憶の政治学のあり方を読み解いた。
第二部をなす三つの章も、多くの点でこの第一部の議論を引き継ぐもの
であるが、ここでは第一部で提示した読解から零れ落ちてしまった論点
をも拾い上げながら、『誕生日パーティー』『温室』『管理人』『帰郷』、
そして後期の政治劇といった彼の代表作を詳細に検討していく。
第一部におけるミスコミュニケーションに関する議論、第二部における
ピンター劇の暴力性に関わる議論、そして本書全体に通底する
記憶の政治学というテーゼは、いずれも「ホロコースト」という
歴史上の大事件と多かれ少なかれ関係しているのである。
【目次】
1章 ホロコーストのあとで(1)
2章 ホロコーストのあとで(2)
3章 死産するスタンリーと声の剥奪
4章 何かが起こる/何も起きない
5章 言語、政治、記憶
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。