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日本人は、鬼が大好きだ。お伽話は鬼で溢れている。
鬼とはいったい何者なのか。
鬼は本来、目に見えない、得体の知れない恐ろしい存在と考えられていた。
たとえば、秋田のナマハゲが蓑笠を着ているのは、寒さや雪対策だけではない。鬼の格好を表象している。身を隠して見えないという設定で、鬼を表現しているのだ。
その「隠す」「隠れる」の「隠」の一文字を「おん」と読み、「おん」が「おに」となった。
古代日本人にとって「鬼」とは「祟る神」であり、大自然そのものだった。
恵みももたらせば、災害も起こす。強力なパワーを持つ、目に見えない、恐ろしい存在は、すべて鬼だったのだ。
また、天つ神の末裔である天皇も同様に恐ろしい存在と見なされた。
実権のない弱い祭司王であった天皇が、生き残った大きな理由がここに隠されている。
古代史における鬼は、現代人の想像をはるか超える影響を及ぼしていたのだ。
『天皇と鬼』を改題し、加筆・再編集。
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