特集:再び「今、何が問題か」
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特集:再び「今、何が問題か」
2012年5月発行の『アステイオン』76号では、「今、何が問題か」を特集テーマに、新たに発足した
編集委員会のメンバー全員が論考を寄せた。
「今」とはいつなのか、「問題」とは何を意味するのかについての了解も共有せずに、各自がそれぞれの問題意識をのびのびと語ることで、アステイオンの新体制を担う委員を読者に紹介する意味もあった。
ほぼ10年たった今。編集委員会を再編成したのを機会に、再び「今、何が問題か」を新旧の編集委員の
全員が語ることにした。これによって新委員を読者に紹介するとともに、改めて「今」を問いたい。
76号が発行されたのは、東日本大震災と「アラブの春」の翌年のことであった。もちろんコロナ禍を予測してはいなかったが、我々は恐怖との付き合い方や魂の幸福について語っていた。米中対立が顕在化していなかったあの頃にも、環太平洋秩序の不安定性について語っていた。
ドナルド・トランプが米大統領に選出され、イギリスのEU離脱が国民投票で決まることは知り得なかったが、「市民」を問題にし、不安について思考を回らしていた。
今号の我々の問題意識が、10年後にも意味をもち続けているかどうかは、10年後の読者の判断に待つしかない。だが、時代の潮流を、「鋭く感じ、柔らかく考える」アステイオンの姿勢が、新編集体制になってもいささかも変わることがないことは、読者に約束しよう。
責任編集:田所昌幸(慶應義塾大学法学部教授)
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