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密教における?幟(ひょうじ)を理解するための必携書!わかりやすい豊富な画像!
多種多様な ?幟(ひょうじ)の世界
如来、菩薩、明王、天部、星神・道教神・和神さまざまな仏神諸尊の
「働き・功徳」「姿かたち」「手印」「縁起」「真言」「三昧耶形」「種字」を掲載!
「一般にはあまり耳慣れない言葉ですが、『?幟』という主に密教で使われている用語があります。仏や菩薩などによる衆生済度の誓願を本誓とか本願といいますが、その本誓や、仏菩薩が長い修業によって到達した悟り(内証)、諸尊が衆生を救いあげるにあたって駆使するとされる功徳の内容―たとえば自分の名を呼べばいついかなるときでも必ず浄土に導くとか、無上の宝を授けるとか、一切の罪を消除するとか、強力な法の縄でからめとって救済するなど―を、さまざまなシンボルを用いて表したものが?幟です。」
「仏教の印で最も古いのは、釈迦像の印です。意外に思われるかもしれませんが、人間の姿そのもので表される釈迦像は、釈迦の入滅から四〇〇~五〇〇年ものちの、紀元後一世紀になって、はじめてつくられるようになりました。
それまで弟子たちは、『法に依りて人に依らざれ』(『涅槃経』)という師の教えに基づいて、釈迦が遺した仏教の教え(法)をもとに生きるように心がけ、信仰が釈迦個人への信仰に陥ることのないよう注意してきました。釈迦像を造るというのも、個人崇拝につながります。そのため仏像を造ることもなかったのです。
とはいえ、?幟は造られました。」
「密教は、ある面からみると壮大な幟の体系ということができます。みなさんよく御存知の手印、あれも仏菩薩や明王、天部の神々の幟の一種です。さまざまな手の形は、諸尊の本誓を表したり、悟りの内容を表しています。」
「序章で説明したとおり、諸尊の印の中で最も古いものが、釈迦の結ぶ五つの印です。いずれも釈迦の伝説と結びついていますが、定印は、菩提樹下で深い眼想に入った釈迦が組んでいたとされる印です。
瞑想状態のことを、仏教では三摩地とか三摩提、三昧などといいますが、これは瞑想状態を意味するサンスクリット語サマーディの音訳で、『定』とか『等持』と訳されます。そこでこの印は、定印とも等持印とも呼ばれます」
「金剛界曼荼羅は大日如来の智恵の働きを図像化したもので、そこに描かれている膨大な数の仏菩薩や神々は、一尊残らず大日如来の智の展開であり、さまざまな働きの象徴だと考えられているのですが、とりわけ重要なものが、金剛界曼荼羅の中心世界である成身会という区画に描かれている五智如来(金剛界五仏)です。」
(以上、本文より)
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