取り寄せ不可
世界中の高峰を経巡る作者。その足跡を地図にたどれば眩むほどである。その地、その峰で書きとめられた手記も刊行されているが、自身の純粋な思いを吐露する形式としてえらばれたのが日本古来の短歌であった。
なかなか訪れることの叶わない各国の地名、山の名が綺羅星のごとく鏤められた本書は、ページを繰るたびに冒険心を掻き立ててくれる。
わずか四千米なれど山旅の一頁記す日の山トゥブカルの峰
渦まきて流れる川はK2の氷河くぐりし荒くれの水
ふりかへりふりかへりつつ山を去る姑娘山群いつの日かまた
こういった歌を読むにつけ、登山家の単なる手遊びの歌でないことは明らかであろう。
三十一の文字にて詠ふこと難しあまりに広き西蔵の原
このような抑制の効いた精神がわれわれ読者に安心を与えてくれもするのだ。
稀代のアルピニストが山々のいただきから紡ぐ一冊。・・・「帯」より
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