時がうねる

時がうねる

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出版社
ふらんす堂
著者名
上田睦子
価格
3,300円(本体3,000円+税)
発行年月
2021年5月
判型
四六判
ISBN
9784781413419

◆俳句と思索

加藤楸邨に師事し、ひたすら楸邨のみをみつめて句作をしつづけてきた俳人・上田睦子の句文集。俳誌「寒雷」と同人誌「島」に掲載したものを中心に収録。広やかな視座と手垢のつかない言葉によって俳句を思索する。



雪ふりつむ書なき書架にはひろびろと  睦子

手を垂れ、しかもひらいたままで対象を持たねばならぬ。何故なら手に触れ、胸に抱きとることによる所有は、おそらくその影が肌に落ちるほどの触れあいにしろ、必ずや滅びにいたるからである。(本文より)



*



素朴にやわらかに見、歩き、生きたい。見ることが対象を己が寸法で切りとることでなく、逆に傷を負うことでありたい。その傷が私の中で成熟し、形をとって現れ、定着する。それが私の俳句であってほしいと願う。(著者)

五月の指がまつさをな港をわたる

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