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日本と世界の旅の記事を書き続けて四十余年。日本旅行作家協会理事のコサブロウが訪ね歩いたのは、47都道府県はもちろん世界43の国と地域に及ぶ。1998年から始めた俳句は早々のビギナーズラックで文壇の重鎮であった故・清水基吉氏に評価され、以来、23年間、俳句を詠み続けてきた。現代の松尾芭蕉、与謝蕪村ともいうべきコサブロウが自らの足跡を俳句と散文で綴る随想録。
紀行文の書き方の指南書、作句のヒントを伝える実用書、そして観光ガイドブックの要素を備え、さまざまな読み方ができるエッセイ集です。
日本と世界の旅の記事を書いて四十余年になる。
趣味で始めた俳句は今年で二十三年。
結社ではなく、同好の士による二つの句会に参加している。
旅行記事に比べ、俳句は十七音と短いから易しそうだが、
それがなかなか思うようにいかない。
俳句頭になっているときは
すっとフレーズが湧いてくるのだが、
そうでないときは、無理やりひねくり回すだけでものにならない。
それでも俳句は楽しい。
旅と俳句のエッセンスを、これからも書き続けていきたい。
(木村小左郎)
振り返ってみると、俳句を二十三年続けてこられたのはビギナーズラックで鯛を釣りあげてしまった勢いがあったからだと思う。が、それはそれとして、今では俳句をやっていて良かったとつくづく思う。年の差も肩書も関係なしに、互いに親しみを込めて俳号やファーストネームで呼び合うことができる間柄というのは、俳句ならではの世界といえるだろう。(本文抜粋)
小左郎という名前は明治生まれの父親がつけたものだが、「こさぶろう」と読む人はまずいない。「こさろう」が大半だ。実は父は当初、「小左佐衛門」とした。ところが役所の担当者に「いくらなんでも、この時代にあわない」と諭されて、小左郎になった。普通、「こさぶろう」なら「小三郎」だろうが、スタートが「小左佐衛門」だったので、小左郎になったという次第である。ちなみに明治生まれの父の名前は、晴彦。
今は昔の活版の頁をめくるたびに、そうした当時のことがふつふつとよみがえり、紐でくくる手が止まってしまった。(本文抜粋)
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