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いまの日本は「天上大風」、すなわち、ものすごい勢いで荒々しく吹きまくる嵐のまっ只中にある。解決する道はなかなかみつからない。中国がどうの北朝鮮がどうのということではなく、日本国そのものが大転換期、解体しつつある、先行きは不安ばかり、といってもいい。そうした「行き止まり」のときに、日本人は、とくに若い人たちは、どう生きたらいいのか。
そうなんです。明日に光明をもてない、「行き止まり」であればあるほど、物事をきちんと考え、真面目に、自分のなすべきことを困りつつウンウンと唸ってやりつづけながら、君たちは人間であることをやめないで生きなさい、と。
──ことし1月12日に長逝された半藤一利さんが生涯の最後まで訴え続けたこと。それは「歴史に学べ」ということでした。本書は半藤さんがものした数多くの文章や講演から、そのエッセンスを集約したものです。
明治人のリアリズム、大正期の石橋湛山が示す理想のパワー、昭和天皇の懊悩、そして宮崎駿の投げかける問い。昭和史研究の第一人者が残した軽妙にみえて重い言葉です。
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