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この本に書かれているのは「手洗い」つまり手を洗う行為についての叙事詩です。……この本には、詩の言葉で、手洗いについてのさまざまな事象や、手の洗い方、歴史、物語が書かれています。(「はじめに」より)
新型コロナウイルスによるパンデミック以来、さまざまな変化を強いられてきた私たちの社会や生活――政治や科学のことばがあつかう“大きな変化”に対して、日常における微細な変化、ささやかだけれどきわめて切実な変化をすくいとるのには、詩のことばこそ、うってつけです。
「テノウオ」なる全自動手洗いマシンが出現した今よりちょっと先の未来を舞台に、「手を洗うこと」についての統計、歴史、省察、記憶や物語が、共同制作という方法によってアクロバティックに織りなされる、ヴァーバル・アート・ユニットTOLTA(トルタ)による、ポップでシリアスな“現代の叙事詩”。
これからの「手洗い」の話をしよう――
【以下、本編「新しい手洗いのために」より抜粋】
マスクをしているかしていないかは目に見えるが、手洗いは目に見えないから。
*
今日も地平線に手が昇る
*
こんなにじっくり自分の手をみたのは久しぶりだ
*
手が冷たい人間は心も冷たいとか、手が冷たい人間は逆に心が温かいとか、そういった
どうでもいい言説がこの世には溢れている
*
人が集まっているとなんとなく
いけないことをしているような気分になる
*
わけのわからないことを言っている人がいて
心細くなったら
ひとまず手を洗って落ち着こう。
*
石?に関するもっとも古い記述は
紀元前2500年頃
羊毛の洗浄に関するメソポタミアの粘土板に遡る。
*
手のかたちに似たものを唱える。
ヤツデ、ヒトデ、カエデ、クマデ、もみじ
手と手がダンスしている。
*
なぜ手だけ洗えば良いと思ったんですか?
体に区切りなんてないのに
「手」なんてあいまいな領域を決めて
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