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下谷にある〈出直し神社〉には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。
縁起の良い〈たね銭〉を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。
その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。
ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。
さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、
おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして──。
読み応え抜群の時代小説。(解説・吉田伸子)
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