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地理を学んだり教えたりする際に人が最初に必ず思うことは,「地理とは何か」,あるいは「地理で何を学ぶのか」という問いである。多分,多くは高校までの学びを思い出し,山の名前を覚えたり川の名前を覚えたり,あるいは地域の産業や特産物を言い当てたりすることが地理と誤解して答えるかもしれない。しかし,地理学は決して地名や地域の特産物などを言い当てたり覚えたりすることではない。また,地理学には地形や気候などの自然的な事象から,文化や社会や産業などの人文的な事象までが含まれており,地理学の本質を一言で説明することが難しい。しかし,さまざまな分野に共通する本質は「地」の「理」を「学」ぶことにあることは確かである。「地」の「理」,すなわち地表で起こっているさまざまな現象や事象,例えば土地の高低や降水の多少,人口の集中分散や水土地利用の拡大縮小などの現象や事象の秩序や法則性,あるいは因果関係を考え学ぶことが地理学であり,地名や産物を覚えたりすることは決して地理学ではない。本書をまとめるに際し,「地」の「理」を「学」ぶことが地理学の本質に違いないと考え,本書のタイトルも「地」の「理」の「学」び方とした。執筆にはさまざまな分野や立場の地理学者が参加している。
本書の「地」の「理」の「学」び方は地域のさまざまな見方・考え方を示すもので,地理の勉強や研究に関わる全ての人に参考になるだろう。「地」の「理」の「学」び方を体系的に整理するために,本書は大きく4つのパートに分けられている。1つ目は自然地理学のパートであり,地形や気候,そして土壌や水環境に基づく「地」の「理」の「学」び方であり,地域の見方・考え方である。2つ目は人文地理学で,特に系統地理学(特定のテーマに基づく地理学)に主眼を置いたパートである。都市地理学や農業・農村地理学,そして文化地理学や空間的思考,観光地理学などからの「地」の「理」の「学」び方になる。3つ目は地域地理学(特定の地域を取り上げて総合的に分析据える地理学)に主眼を置いたパートであり,カナダやヨーロッパ,そしてオーストラリアや中国などさまざまな地域の地誌的な見方・考え方を通じて,「地」の「理」の「学」び方を理解することになる。最後のパートは,「地」の「理」の新しい「学」び方に関するものが取り上げられている。GISやGPSの活用や新しい地図の見方・考え方,および地域振興への応用などに関連した「地」の「理」の「学」び方が示されている。
以上に述べた「地」の「理」の「学」び方は,読者それぞれの「地」の「理」の「学」び方を見出すための一助となるだろう。そのため,本書はどこから読み始めても「地」の「理」の「学」び方を知ることができる構成になっている。4つのパートのうち興味のあるパートから,あるいは興味のある章から読み進めることができるし,理解を深めようと思うパートや章を重点的に読むこともできる。また,本書のもう1つの大きな特徴は,個々の分野に関連した「地」の「理」を「学」び方や地域の見方・考え方をさらに詳しく理解するために,読むべき書籍が各章の最後に示され
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