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このたび東西学術研究所資料集刊27―9として『家礼文献集成 日本篇』9を刊行する。これまで当シリーズとして刊行した『家礼文献集成 日本篇』1~8(2010年~2019年)に続く9冊目の資料集ということになる。
これまで刊行してきたこのシリーズは、日本における『家礼』関係文献を初めて系統的に整理、紹介するものであり、従来長く見過ごされてきた日本における儒教儀礼のありようを解明するための基幹資料を提供しようとするものである。
周知のように『家礼』という文献は冠婚喪祭(冠婚葬祭)の儀礼マニュアルであり、近世期、日常生活における儀礼実践のための重要な手引きと見なされてきた。そのことは中国はもちろん、韓国・朝鮮、ベトナム、琉球など東アジアの伝統社会においてそうであり、また日本においても程度の差こそあれ、大きな反響をもたらしてきたことが明らかになっている。とりわけこの書に説かれる喪祭(葬祭)儀礼が「孝」思想の普及とあいまって多く著述と実践を生んだことは十分記憶にとどめておく必要があろう。
広くいえば、「儒教史」の展開の広がりを考える上でも、また「日本思想史」もしくは「日本宗教史」の展開を考察するうえでも、『家礼』文献群の存在を見逃すことはできないのである。詳細な研究はなお今後に待つところが多いが、思想や宗教のみならず、学術や歴史、風俗、諸儀礼、マナーなどの諸領域においても新しい視点を提供することになると思われるし、また東アジアにおける文化交渉という面から検討可能である点も興味深いところである。
幸い本シリーズは好評をもって迎えられ、近年の儒教儀礼再検討の機運にともない、日本のほか中国や韓国の学界からも注意されつつある。……
このほか本シリーズが機縁となって、現在、中国・復旦大学の呉震教授、韓国・延世大学の張東宇教授および筆者を中心として「東亜《家礼》文献?編」(仮題)の編集が進行中である。これは中国、韓国・朝鮮、日本、ベトナムにおける主要な『家礼』関係の漢文文献を集め、標点を付して刊行する一大叢書であって、刊行のあかつきにはこの分野の研究を大きく促進することになるであろう。……
本書には山崎闇斎と浅見絅斎の『家礼』関連著述を収めた。すなわち闇斎『文会筆録』の『家礼』関連部分、絅斎『家礼師説』、『通祭喪葬小記』(喪祭小記)、『浅見先生祠堂考』、『家礼紀聞』、『喪祭略記』の六種である。
闇斎に始まる崎門派は江戸時代以降の日本思想史に大きな影響をもたらしたが、彼らは『家礼』に強い関心を寄せており、残された関連著述もきわめて多い。……
本書の編集方針はこれまでの本シリーズとほぼ同様であるが、絅斎『家礼師説』は紙面の関係上文字が小さく、また、くずし字の読みにくい写本であるため、翻刻をあわせ載せることとした。(本書「まえがき」より)
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