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本書においてシーガルは,夢と芸術という魅力的な素材を通じて,最近その重要性が認識されるようになった「クラインの象徴化理論」を生き生きと記述し発展させている。
その論理構成はすこぶる明快である。シーガルはまず読者をフロイトの夢理論へと導入し,彼女自身の臨床例を提供する。その上で精神的,感情的活動の基本をなす無意識の幻想について子細に語り,象徴作用の考察を経て,夢と自我の病理的記述(5章),芸術をめぐる考察(6,7章),白昼夢,想像力,遊びをめぐる考察(8章)へと展開してゆく。その興味の幅広さと分析家としての並々ならぬ力量は,随所に見られる、臨床的卓見に反映されているが,その基盤には,彼女が自ら開拓し応用した,厳密な理論的枠組みが置かれている。
クライン学派(英国学派)の代表的な精神分析家,ハンナ・シーガルの最新の論考。
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