〔はじめに〕より
本書では理工系学部の標準的な数学の知識を前提に「機械学習のための関数解析入門」と題してカーネル法の理論と応用の解説を試みる.第1章では内積の計算を中心に線形代数の復習をしよう.第2章では,フーリエ解析と複素解析からいくつかの事実を認めて,内積の数学としてのフーリエ解析を解説する.第3章ではヒルベルト空間の基礎理論を解説する.ヒルベルト空間とは,第1章と第2章の数学に共通した構造を抽出した概念である.ここで抽象的な内積の計算に慣れてしまえば,カーネル法の理解は難しいことではない.第4章ではカーネル法の基礎を,理論と応用を交えて解説する.第5章ではカーネル法の発展編としてガウス過程回帰を解説する.ここで数学の枠を超えた本格的な応用を紹介しよう.付録では,本書を読む上で知っておくと便利なことや,少々進んだ話題をまとめた.さて,本書の読み方であるが,目的や事前の知識の量に依り,様々な道筋が考えられる.例えば,カーネル法を手短に知りたい場合,第1章から第4章,第5章と進むことが可能であろう.また,半期の講義で使用する際は,第1章,第3章,第4章を中心としたコースが適当であろう.数学や情報科学専攻の学生には,卒業研究などでの通読を勧めたい.
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