2020年に世界を駆けめぐった新型コロナウィルス禍は、我が国にも大きな影響を与えた。医療現場はその最も大きな影響を受けた場所と言っても過言ではない。陽性反応者やその家族だけでなく医療従事者にまで差別が及ぶ。病院を辞める医師や看護師も多く生まれている。また、新型コロナ患者の治療に取り組んだ結果として赤字を余儀なくされ病院の経営に深刻なダメージを負う。
これは新型コロナ禍を引き金として、我が国の医療制度の脆弱さを炙り出されたといえる。これまで、我が国の医療制度・医事法は、真に国民・市民の命と健康を守るものであったといえるであろうか。患者の権利保障と医療従事者の権利保障という視点が欠けている医療制度・医事法が、コロナ禍をめぐる危機的状況の背景の一つとして挙げることができるのではないであろうか。コロナ禍は我が国の医療制度の脆弱性の延長線上に存するものではないであろうか。
患者と医療従事者の権利保障を基軸に据え、我が国の医療制度の脆弱性の原因を検討し、既存の関係法規の概説にとどまることなく、医療制度・医事法の改革の道筋を提示する。
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