循環器ジャーナル Vol.69 No.2(2021)

エキスパートに学ぶ 知っておきたい心電図診断のコツと落とし穴

循環器ジャーナル

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出版社
医学書院
著者名
小菅雅美
価格
4,400円(本体4,000円+税)
発行年月
2021年4月
判型
A4
ISBN
9784260029674

" 新型コロナウイルス感染症の感染拡大でPCR検査が話題となり、検査に求められるのは“簡便に行えてすぐに結果が出ること""だと改めて感じました。心電図検査はこの条件を満たし、さらに非侵襲的で安価です。

 心電図は100年以上も前から存在する古い検査法でありながら、今なお循環器診療で最初に行われる基本検査であることに変わりありません。今後、画像診断がどんなに目覚ましい進歩を遂げても、心電図は決してなくなることのない検査法だと思っています。心電図から得られる情報量は心筋虚血・不整脈を筆頭に限りなく多い一方で、その診断は必ずしも容易ではありません。臨床現場では教科書に載っているような典型的な例ばかりではなく、診断に苦慮する例は少なくありません。

 そこで,本誌では「心電図診断のコツと落とし穴」というテーマで特集号を企画しました。読んでいただければわかりますが、非常に充実した贅沢な内容となっています。最初の章の心電図の“温故""は、普段当たり前に行っている心電図検査について改めて考えさせられ、心電図の発展普及に貢献された先達に敬意を払わずにはいられない内容です。続いて一刻を争って心電図診断が求められる急性冠症候群(ST上昇型急性心筋梗塞、非ST上昇型急性冠症候群、冠攣縮性狭心症、TOPICS: de Winter ECG Pattern)から始まり、その鑑別疾患(急性肺塞栓、たこつぼ症候群、劇症型心筋炎、急性大動脈解離、急性心膜炎)、不整脈(徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、QT延長症候群、Burugada症候群、J波症候群)、肺高血圧症、電解質異常、さらにはホルター心電図、運動負荷心電図に至るまで幅広い分野の心電図診断についてエキスパートの先生方に解説して頂きました。心電図診断の基本に加え、診療する上でこれは知っておいて欲しいという内容を症例を交えて具体的に記載していただいています。

 「心電図診断のコツと落とし穴」を単に文章だけでなく具体的な症例を提示して記載するのは大変なことです。常日頃から1例1例の患者さんの心電図に気を配り臨床診断を大切にされている先生方だからこそ成し得ることであり、読むとそれがよく伝わってきます。症例に学ぶのが何より勉強になります。私自身、この特集号を読んで本当に勉強になりました。“単なる線画にすぎない心電図からこんなことまでわかるのか""と再認識する一方で、実臨床における心電図診断の難しさも痛感しました。心電図を活かすも殺すも読み手次第です。本特集が読者の先生方の日常診療に役立つことを期待しております。

 最後に大変お忙しい中、本特集にご執筆頂いた先生方に、この場を借りて心より感謝を申し上げます。

(横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター 小菅雅美)"

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