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本書は、最澄が、先に提出した「四条式」に対する僧綱たちの反論に再反論し、「大乗の菩薩は大乗戒を受けることで出家が可能である」という自身の主張を論証しようとしたものである。最澄の主張は未曽有のものであったが、最終的に朝廷からの許可を得、大乗戒(具体的には梵網戒)を受けることで出家するという日本天台宗独自の制度が成立することになる。その後、天台宗を母胎として成立した諸宗が日本仏教の主流を形成するにいたって、律(ヴィナヤ)に基づかない出家という他に例を見ない形態が日本仏教の常態と化すことになり、今日にいたっている。その意味で、本書は仏教史全体にとっても大きな意味を持つものと言える。(『顕戒論』解題より)
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