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「こころの病、なかでも統合失調症に対する偏見や先入観を取り除いて、共生社会への前進の一石になればという強い思いで本書を著しました」(まえがき)。
本書は2部構成。第Ⅰ部では統合失調症への偏見の多くは「幻覚や妄想」の理解に関わっているのではないかという問題意識から、「こころ」について生涯にわたって探求し続けたユングに焦点を当てている。また、発達障がい児の教育に携わってきた経験が随所に紹介される(尾関夢子執筆)。そして第Ⅱ部では、「人類にとって<精神(こころ)の病」とはどういうことか」を考える前提として、広く人類の精神史を素描する(尾関周二執筆)。
闊達な語り口のなかに、現代社会の問題が浮き彫りにされる。知的刺激に満ち、示唆に富んだ好著。
〈帯文〉
幻覚、妄想、不思議な世界……。
ユングや人類の歩みから考えます。
どうつき合えばよいのか、新しい世界がひらけます。
〈「まえがき」より〉
こころの病をもつ人びとは、むしろ人類の精神史の大きな流れの川辺の花とも思われてくる。
長い人間の歴史のなかで、現代のいま・この時点という針の先ほどの一点に共に存在している私たちとして、「普通」とは何か、「現代の普通」にとらわれず、「普通」の概念・見方を変えて未来につなげてゆく、そんな存在でありたい。
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