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事例報告書の作成にも活用できる中範囲理論・看護モデルを複数紹介.教科書的に知識を詰め込むのではなく,事例を通して理論の使いかたを学ぶことで,はじめてでも無理なく事例分析が始められる.「どの理論をどう使えばよいかわからない」と悩む理論初学者に最適な一冊.
【書評】
「理論」と聞いた瞬間,「むずかしい」「よくわからない」といった反応から「(学生時代の)講義が退屈だった」「臨床では使えない」などネガティブなコメントが返ってくることがほとんどです.そういう私も,「理論」と言えば症例報告のために使う程度で,よくわからないままに「むずかしい」を連発していたものです.
確かに,『看護覚え書き』に代表される看護理論と呼ばれる大理論は,看護分野における重要な概念や原理を特定するための概念枠組みであることから,現場でどうケアしていくかで悩んでいる患者や家族の看護に応用するのはむずかしい側面もあります.そこで,注目されたのが中範囲理論です.中範囲理論は,1960年代に社会学者のロバート・マートンにより提唱され,1970 年代に看護学に導入されました.中範囲理論は現実のより限定的な範囲における明確な概念を扱うため,現場での適用の可能性が高いこと が特徴です.
本書は,このような中範囲理論の活用法を,事例を交えて具体的に解説しています.中範囲理論を学びたい方は,本書で紹介されている理論を1 つひとつ読んで理解を深めるのがよいでしょう.ただし,目の前にいる患者にどうかかわればよいか,適切なケアはどうしたらよいかなどにむずかしさを感じ,できるだけ早く解決したい場合には,「理論・モデルの選びかた使いかたワンポイント!」を参考にしてください.「こんな患者さんに効果的」「使用上の注意すべきポイント」「使用にあたっての準備・心構え」などがコ ンパクトにまとめられています.この章を読むことで,今,解決したい看護の現象に関連した理論やモデルについてのイメージをつかむことできます.そこから,目指す理論について腰を落ち着けて読み込めば,事例を読み解くための型紙(デフォルト)として理論をどう使えばよいのかが見えてきて,困難を感じる事例の解決の糸口が見えてくるはずです.
ぜひ,本書を手元において,理論についての学習のみならず,日々の看護実践に役立てていただきたいと思います.
がん看護29巻4号(2022年5-6月号)より転載
評者●田村 恵子(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻緩和ケア看護学分野)
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