1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります
本書は1999年から2019年までの20年間、関西大学文学部に奉職する著者が内藤文庫所蔵の一次史料を駆使して書いた論文及び同僚・同志たちと協働して行った研究活動記録の集大成である。
口絵集に配置される臨場感あふれる写真180余点は、湖南の生涯事跡、家族・師友・門下生及びその交流・交渉の相手の同時代日中両国の文人と政治家の肖像(例えば日本側の三宅雪嶺、西村天囚、稲葉岩吉、長尾雨山、富岡鉄斎、石濱純太郎、小村寿太郎、犬養毅、西園寺公望と斎藤実など、中国側の羅振玉、蒋黼、張謇、張爾田、胡適、傅増湘、趙爾巽、熊希齢、鄭孝胥と溥儀など)、および関西大学を中心に展開された研究活動の風景を紹介している。
冒頭に湖南研究の先達で京都大学名誉教授の礪波護・高田時雄両先生の序文、および「近代に挑む経世気概の東洋史学者―私の湖南像と本書の構成」と題する著者の序説がある。本文は三部構成で、「第一部 研究論文」所収の湖南の学問的・政治的営みとスタンスの特徴とその変化に関する8編は、次のような三つのセクションに分けられている。
I 「欧西と神理相似たる」日中の学問方法論発掘と顕彰
第1章 富永仲基に関する内藤湖南と石濱純太郎の功績―「加上法」と『楽律考』発見の意義と影響;第2章 『文史通義』研究と章学誠年譜作成のインパクト―張爾田、胡適および姚名達との交流について
II 東洋「美術」の精粋たる書画への嗜好と推賞
第3章 中国趣味の形成と清末流出書画の蒐集および発信―『内藤湖南と清人書画―関西大学内藤文庫所蔵品集』序説;第4章 関西における「王右軍」論の展開と湖南の「南帖北碑」関係論の変遷―『大正癸丑蘭亭会への懐古と継承―関西大学内藤文庫所蔵品集を中心に』序説
III アジアをめぐる欧米列強との競合と西洋文明を模倣した近代日本への反省
第5章 日露戦争末期の満洲軍占領地民政調査と小村外相への献策;
第6章 民国初期における日米競合と『支那論』及び対中文化事業構想;第7章 航欧後の「欧米文明礼賛」批判と大阪「東方文化聯盟」への指導;第8章 「満洲国」および日満文化協会創立前後の石原莞爾・羅振玉・鄭孝胥との相談―「満鮮古戦場」探求、『清実録』影印および溥儀の即位儀礼問題をめぐって
「第二部 史料論考と人物小伝」に収録する「關於内藤文庫所藏鈔本《章氏遺書》之来歴」、「内藤湖南『支那論』的成書過程與民国初期熊希齢内閣的関係」などの論考8編、および富永仲基、重野安繹、宮島誠一郎、山本憲、斎藤実、西村天囚、内藤湖南、小川琢治、富岡謙蔵 今西龍、稲葉岩吉、鈴木虎雄 羽田亨、武内義雄、濱田耕作、岡崎文夫、石濱純太郎、梅原末治、宮崎市定、吉川幸次郎と藤枝晃に関する小伝は、第一部の論文に触れる関連人脈と時代背景を実証し補説している。
「第三部 関連序跋など」は、著者自身の著作及び藤田高夫、藪田貫、吾妻
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。