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東京帝国大学印度哲学講座の開設に尽力し、その初代教授として日本の近代仏教学の礎を築いた村上専精。その日本宗教史上における重要性は、つとに指摘されてきた。
しかしその評価の一方で、東京大学や、村上が僧籍を置いた真宗大谷派とその宗門大学である大谷大学周辺において、彼は“語られなくなった仏教者”でもあった。
では、村上専精の重要性とは具体的にどのようなものであったのか。本書では、停滞する研究状況に風穴を開けるべく、仏教の「統一」のみならず、その「歴史」の構築および「修養」としての意義を見出すことにも情熱を注いだ村上の思想と行動や、その波乱に満ちた生涯について、これまで村上について考究してきた研究者らが一堂に会し、多様な観点から考察する。
村上専精という仏教者へ、はじめて本格的に迫った近代仏教史上における画期的論集。
〈目次〉
村上専精という課題――はしがきに代えて(オリオン・クラウタウ)
序 章 統一論とユニテリアン思想――村上専精の全体像に向けて(ミシェル・モール/亀山光明 訳)
第Ⅰ部 伝統の再構築――村上専精の初期思想
第一章 排耶への姿勢――〈実学〉と村上専精の思想形成(三浦 周)
第二章 村上専精『活用講述因明学全書』の思想(師 茂樹)
第Ⅱ部 仏教統一論とその思想的意義
第三章 仏教統一論と比較宗教学――村上専精の「五種の研究眼」をめぐって(岡田正彦)
第四章 〈大乗非仏説論争〉再考――村上専精の意図(蓑輪顕量)
第五章 仏教の統一にあらがって――村上専精への宗門からの批判(ライアン・ワルド/佐々木隼相 訳)
第Ⅲ部 統一論の彼方――村上専精の遺産
第六章 修養としての仏教――村上専精の教育実践とその射程(オリオン・クラウタウ)
第七章 村上専精と常盤大定――東京帝国大学印度哲学講座の開設をめぐって(渡辺健哉)
第八章 村上専精とその弟子――『明治維新神仏分離史料』の編纂について(池田智文)
終 章 村上専精論を超えて(林 淳)
付録① 村上専精直筆資料翻刻(オリオン・クラウタウ)
付録② 村上専精著作目録・年譜(呉 佩遥 編)
あとがき(オリオン・クラウタウ)
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