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東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発事故によって、周辺住民や事業者は甚大な経済的打撃を受けた。その救済措置として2011年8月に原子力損害賠償支援機構法が成立し、東京電力は同年9月から本格的な賠償を始めた。東京電力によれば、2021年1月22日までで請求は延べ295万件を超え、約9兆7000億円が被害者に支払われている。そしてその財源には、国民の税金や電気代が充てられている。
本書では、福島原子力補償相談室で約3年間、賠償係として勤務した人物をノンフィクションライターの高木瑞穂氏が徹底取材。世間から東京電力に厳しい眼差しが向けられる中で起こっていった杜撰な賠償金支払いの実態、そしてそれに目を付けた詐欺師たちが賠償金詐欺に乗り出していく流れ。更に賠償係自身もその渦に巻き込まれ逮捕されてしまう。
「正当」な賠償があった一方で、「黒い」賠償もあった。賠償金を巡る狂騒曲の中で本当に悪かったのは誰なのか? 社会のタブーに踏み込んだ1冊。
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