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日本列島における国家形成期とされる古墳時代、「倭王」の称号が授与された人物が存在し、「倭」の領域を支配する王権構造が機能していた。そこでは、古墳という墓制が活用され、王権構造が生成・維持・発展されてきた。本書では、倭鏡をはじめとする副葬品や埴輪など古墳の出土品を分析し、倭王権の構造や動態、そして古墳時代人の精神世界といった社会史や精神史的な側面について考察する。分析対象を、古墳時代をつうじて生産されていた複数の遺物とし、天皇陵古墳調査の最前線に立つ著者が、古墳時代像を解明する。
【主な目次】
序 論 倭王権をめぐる古墳時代研究と本書の問題意識
第1部 埴輪からみた倭王権
第1章 埴輪編年の構築
第2章 埴輪生産の変遷――倭王権の関与
第3章 倭の五王の時代における円筒埴輪の規格――大型古墳とその陪塚
第2部 倭鏡からみた倭王権
第4章 倭鏡生産の変遷
第5章 前期倭鏡の変化と「政権交替」
第6章 中期倭鏡の研究――讃・珍・済・興の鏡
第7章 古墳時代後期の出土鏡と長期保有
第3部 その他の副葬品からみた倭王権
第8章 銅鏃の製作方法とその背景――「大和東南部勢力」と「大和北部勢力」
第9章 甲冑と革盾――古墳時代中期における副葬品変化と倭王権
第10章 鈴釧の研究
第4部 古墳出土品からみた倭王権と社会
第11章 古墳出土品からみた倭王権の動態
第12章 古墳時代人の思想
――神僊思想流入の当否と祖先観の形成
第13章 古墳出土品からみた国家形成
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