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権力を確たるものにして、支配者として君臨するための戦略とは――叙述史料から読み解く社会的・文化的コンテクスト
11~12世紀、王権の支配が及ばないフランスの各地方は世襲の支配者たる諸侯に割拠されていた。彼らはしばしば強大な政治的・軍事的影響力を発揮したが、その裏には、自身の権威を地域社会に浸透させるために人々の記憶や意識に働きかけ、特定の筋書きに沿った「語り」による記憶の統制を通じて支配者としてのイメージを確立させるという戦略があった。時に宗教的権威を得ることをも画策した諸侯家系と在地各層との関係性を解明し、北フランスを中心とした諸侯権力の特質を政治文化的な面から明らかにする。
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