等話

等話

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出版社
新評論
著者名
松田道雄(着想家)
価格
2,200円(本体2,000円+税)
発行年月
2021年3月
判型
四六判
ISBN
9784794811738

新型コロナウイルスと共生する日々において、人と会話をする機会がめっきり減っている中、本書は、あらためて会話そのものが持つ本質的な意義というものを考え、読者に問いかける。
 筆者は、かつて、高齢者と子どもが織りなす駄菓子屋空間の研究から、大人が見落としていたいくつもの価値を再発見し、その意義を現代社会に問いかけた(『駄菓子屋楽校』)。なかでも最も本質的な再発見は、「人は人とともに生きており、お互いの関係性は平等である」という極めてシンプルな、かつ最も壊れやすい価値についてだった。現在のコロナ禍が気づかせてくれたのは、その壊れやすい 「共生の関係」「平等なる関係」は「平等な会話」により育まれるということだ。本書は、この「平等な会話」、略して「等話」の考え方や実践を通して、自己主張や「傾聴」からだけでなく、互いに「問いかけ合う」日常会話から生み出される人と人との間のあり方、地域社会づくりのあり方を照らし出す。
 人類は、文字が発明されるはるか以前より、会話によって共に生きてきた。ところが、個人の権利が確立された近代以降現在まで、学校教育で「会話」の意義やそのあり方が重視されてきたことはない。いかに正当な主張であれ、いかに崇高な精神の持ち主であれ、「人とともに生きる平等なる関係」を忘れた学びは、自己も他者も、そして社会をも不幸にする。それゆえ、共生と協力のための「等話」の学びがすべての学びの基本型と考える筆者は、大学や各地の生涯学習の現場で、「等話」の具体的な実践方法を「5つの心がけ」として提起する活動を続けている。本書では、会話の意義を歴史・社会的にさまざまな視点から検証しながら、等話の実験(オンライン会話交流を含む)に参加した大学生やシニア世代の「振り返り作文」も紹介しつつ、これからの少子高齢社会と私たち自身のあり方を考える。(まつだ・みちお)

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