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思い出の中で、ぼくはデコトラに揺られている。
ハンドルを握る父は、ムード歌謡を裏声で歌っていた。
四歳、九歳、十九歳、三十八歳の四章で綴る、ぼくと父の39年。
父や母、一番近くにいた人とのくすぐったい記憶がよみがえる、親子小説の傑作!
レ・ロマネスクTOBI、書き下ろし初小説。
<あらすじ>
「ぼく」は息子が生まれて、いろんなことを思い出した。そうだ、ぼくはずっとカリフラワーを七面鳥だと信じていたんだ。
ビルも地下も歩道橋もない、広島の林業の町に生まれたぼく。力も気も胃も弱い。父親・フミャアキは、酒を飲んで運転し、カープが負ければ家中のものを捨て、「早うせい」が口癖。「そとづら」だけはいい。デコトラで、スナックで、家業の乾物屋で、スキー大会で、野球場で、運動会で、結婚式場で、パリで……。四歳、九歳、十九歳、三十八歳の四章で綴られる、子と父の物語。
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