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◆第五句集
日のさして後ろ姿の夕時雨
去り際に日がさした時雨に後ろ姿を見た。その把握が秀抜。
こうした作品が示すように、どの句にも内面の投影があり、著者の昨今の心境をうかがわせる味わい深い一巻である。
(帯より・鷹羽狩行)
◆片山由美子選
七夕や磨れば一体墨すずり
驚きの手足のままに鵙の贄
月光や白さざんくわのこぼれ継ぎ
雨音のごとき川音鮎下る
凍鶴の時を封じてゐたりけり
春愁や写真のなかのひと昔
綿虫やこの世にうかと紛れ込み
しろがねの鈴振るごとく山清水
時惜しむごとくゆつくり散るさくら
美しき空取り戻す白雨かな
夫に息吹きかけてゐる雪女郎
終の息冬青空に吸はれゆき
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